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読書記録と好きな本の紹介。

食欲のないお嬢さんのお話

      2015/08/29

天気が良くて空気もさっぱりしていると、誰だっておなかが空くもの。
食事に興味が持てなかった女の子が、ああお腹すいた!と食事をばくばく食べだすのと同じ気持になれるような本を紹介します。
読んでいて、それまでのなんとなく重苦しい空気が明るく軽やかに一転するのが分かる、気持ちのいいお話です。

『秘密の花園』の朝食のおかゆ

「今朝はずいぶん良く食べられたね?」とマーサはいった。
「今日はとてもおいしいわ」とメアリーは、自分でも内心すこしびっくりしながらいった。

両親を無くしてイギリスのヨークシャーの伯父さんの家に住むことになった不機嫌でわがままな女の子、メアリー。
それまでおなかが空くって、どういうこと?と食べものに無関心だったメアリーですが、暇を持て余してお屋敷の広い庭を歩くようになって数日、朝ごはんのおかゆ(ポリッジ、オートミール)のおいしさに気づきます。
後半、花園の秘密を共有するコリンと一緒にこっそり野外で食べる、クリームの浮いた新しい牛乳やまだあたたかいぶどうパン、蒸し焼きのじゃがいもなどのメニューもものすごくおいしそうです。
映画版もメアリーがかわいくておすすめ。

『ハイジ』のヤギのミルク

ハイジはおりてきて高い腰掛けに座ると、飲んだこともない高級品を飲むみたいに、おいしそうにごくりごくりと飲みました。
「おじいさん、うちのお乳は世界じゅうでいちばんおいしいわ」

世界名作アニメ「アルプスの少女ハイジ」の原作です。
アルプスの山奥に住むおじいさんに預けられたハイジ。アルプスの生活では、おいしいパンやチーズ、干し草のベッド、かわいいヤギ、美しい山々の姿と何もかもが楽しく過ぎていきます。しかし突然、ハイジはフランクフルトのお金持ちの家にお嬢様の話し相手として連れられていってしまいます。フランクフルトのお屋敷の窮屈な生活になじめず、食欲をなくして夢遊病になってしまうハイジ。
アルプスに戻ることを許されたハイジは、山小屋に帰るとおじいさんの用意してくれたヤギのミルクを大喜びでたいらげます。そしてアルプスの山の新鮮な空気の中で、ハイジはいきいきと健康を取り戻していきます。

『長い長いお医者さんの話』のパンとチーズ

お姫様は、もうがまんができなくなりました。あのいいにおいのするごちそうを、もっとよく見たいものだと思って、御殿を出て、そろそろ近よってゆかれるうちに、とうとう、じいさんのすぐそばまできてしまいました。

お医者さんたちがめいめい話すエピソードのうちのひとつ。
元気をなくし、ふさぎこんでしまったソマリンの国のお姫様。原因もわからず、国中のだれも治すことができません。そこでヨーロッパの偉いお医者さまを呼ぶのですが、手違いから連れてこられたのは木こりのおじいさんでした。困りながらも他にできることもない木こりは御殿の周りのうっそうとした木を切り倒すことに。
薄暗かった御殿は背の高い木が倒れるごとに陽が差しこみ、あたりには新鮮な風と木の香りが満ちてきます。外の様子に誘われ庭に出てみたお姫様は、木こりのおじいさんの食べているパンとチーズを分けてもらいます。

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